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松橋事件の国家賠償請求訴訟で結審前に熊本地裁前で集会を開く原告側弁護団=2024年12月13日午後1時15分、熊本市中央区京町1丁目

 現在の熊本県宇城(うき)市松橋(まつばせ)町で1985年に男性が殺害された松橋事件で、再審無罪が確定した故・宮田浩喜さんが提訴した国家賠償請求訴訟の第6回口頭弁論が13日、熊本地裁(品川英基裁判長)であった。訴訟はこの日で結審し、判決が来年3月14日に言い渡されることになった。

 この日の弁論では、宮田さんの有罪が確定した後に再審請求の準備を始め、国賠訴訟では原告側弁護団に名を連ねる斉藤誠弁護士(東京弁護士会)が意見を述べた。

 その中で、「凶器や宮田さんの着衣から血液反応がでなかったのに、犯人とする決めつけが見直されず起訴を断念しなかった」「(起訴後に証拠品である)布が発見されたのに検察は裁判で明らかにしないという罪深い不正を行った」と訴え、裁判所に「冤罪(えんざい)が生み出されることのないようにするためのしるべとなる」判決を求めた。

 一方、被告の国は「(公判を進めた当時の)検察官の判断は合理的根拠を欠くものではない」、同じく被告の熊本県は「不当な取り調べを警察官が行った事実はない」などとして、ともに訴えの棄却を求めた。

 宮田さんは国と県に対し約8500万円の損害賠償を求めて2020年9月に提訴したが、翌月、87歳で死去。裁判は相続人が継承し続けられていた。

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